バラ
今までの人生で、ずっと花を扱ってきて、バラは人の好みを超える存在感だなあとつくづく思う。
あの子綺麗だよね!と共感を求められて、えータイプじゃないけどねー!なんて会話に、あんたのタイプかどうかは聞いてない、と言いたくなるような絶対的な美しさがある。綺麗な上にトゲまであるなんて、最強な気がする。顔がいいのに頭もいい、みたいな。
という私も、バラはあんまり好きじゃなかった。初めて、圧倒的な美しさを感じたのは、二十歳の時にパパメイアンという品種のバラをもらったときだ。それも一輪だけ。あまりにも綺麗で、調べたのを覚えている。これが黒バラというものかあと。吸い込まれるような深い紅。1963年にフランスの有名な育種家アラン・メイアンが生み出したものだそう。彼の祖父の愛称がパパメイアン。香りも強く、トゲも大きい、一本で十分なギフトになる。
1000以上の種類があるバラ。19世紀の初め頃から品種改良が行われ、日本では大正時代に切花用のバラの栽培が始められた。一番、剣弁高芯咲きの品種が高貴な気がするけど、ガーデニングが流行ったことも影響して、カップ咲き、ロゼット咲き、なども人気が高い。
私がつい買ってしまうバラは、白ではやはりメジャーなアバランチェ。赤ではサムライやアマダ。どうしようもなく懐かしい感じがするのがテナチュール、なぜだか母の色だと思う。これ以上可愛いものはないという色合いのジュミリア。エクレールやスプレーウィットはアレンジで本当にいい働きをしてくれる。
バラが好き、というと典型的すぎて、恥ずかしい気持ちになるけど、やはり美しいものは美しい。そして香りもいい。薬効まであって、何と言っても、長く持つ。最後は萼ギリギリの所で切って水に浮かべると、もうダメだと思ってた花があと数日、綺麗なままでいてくれる。ドライフラワーにしてもキレイで、赤は赤のまま、黄は黄色のまま、色持ちもいい。薔薇。漢字まで難しい。
こんな強くて、綺麗で、匂いも良く、誰かの薬にもなって、枯れても美しく、最後の時まで色を失わない、バラに勝てる女がいるのだろうか。そんなことを考えながら、今日も敬意を込めて、トゲを、器具を使わずひとつづつハサミでとっている。。
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